"UI/UX"というワードを最近、というか近年よく耳にするようになって、一応エンジニアとして仕事してる僕だけど、やっぱフロントのあれこれにも興味はありまくりで、このところ色々と本とかブログをあさってる。
そんな折に紹介してもらったのがこの「LEAN UX」という書籍。ちょうどいい機会だと思ったので読んでみました。
リーン・スタートアップ、とは何か。
恥ずかしながら僕はこの本を手にとっておきながらタイトルにも入っている「LEAN(リーン)」という意味がわからずでした。本そのものに対しては、なんだかかっこいい表紙だし、オライリーシリーズだし、と。
リーン・スタートアップ
「構築(build)−計測(measure)−学習(learn)」のフィードバック・ループを用いて、プロジェクトのリスクを減らし、開発と学習を迅速化します。チームは、できるだけ早く学習プロセスを開始するために「MVP(実用最低限の製品)」を開発および出荷します。(2章 原則 より)
この定義を読んでもわりとさっぱりだったのだけど、つまり「迅速にプロトタイプを作って、それを市場に出してフィードバックをもらってどんどん進化させていこう」ということ。だと思う。
そして、これに「デザイン思考」、「アジャイルソフトウェア開発」を加えた3つを基盤とするのがLean UXとのこと。ここでは他2つは解説しないけども。
それらの基盤の下で、次のようなLean UXにおける原則がある。
- 部門/領域横断的なチーム
- 小規模、専任、同一場所
- 結果(アウトプット)ではなく、成果(アウトカム)
- 課題焦点型のチーム
- 無駄を取り除く
- バッチサイズは小さく
- 継続的な発見
- GOOBーー新たなユーザ中心思考
- 共通理解
- アンチパターンーーロックスター、エバンジェリスト、忍者
- 分析よりも形にする
- 成長よりも学習
- 失敗を許容する
- 中間成果物中心の仕事の進め方からの脱却
ひとつひとつの原則の解説についてはぜひ本書を読んでいただくことにして、これらの核となる属性を用いながらチームの構成から目標や仕事の進め方などを定義していくことが望まれると。
Lean UX実践のプロセス
第一部で説明された基本的な原則を、続く第二部ではより具体的なプロセスとして落とし込みます。
まず、この第二部の冒頭にあるLean UXチームの日常を切り取ったストーリーだけで少しばかり刺激を受けました。体系的なチーム開発のフローを学んだことがなかったからかもしれないけど、なるほど、これが、という。
ここで紹介されている実際のプロセスでは、特に奇抜なツールや特殊な技術を用いることはなく、今でも普通に使われているであろうホワイトボードや付箋といったツールを用います。
行う活動やその過程で作成する物などについても、それほど珍しいものがあるわけではないけれど、いずれも上の原則に基づいているから納得して読み進んでいく。基本的にアジャイル開発だからイメージは一本道ではなく、螺旋状?な感じ。
Lean UXとアジャイルの統合
第三部のタイトルは実践。
そもそも、アジャイルソフトウェア開発が基盤にあったんじゃないの?という疑問は一瞬浮かぶものの、どうやらアジャイル手法を、UXに適用すること自体が困難とされてきている背景があるらしい。
この「Lean UXとアジャイルの統合」の七章については、実際にアジャイル開発でガンガンやるようになったらもう一度深く考えることにして、今は既存の組織として動いているものがどのようにLean UXへ移行するか、の八章に注目。
と思いきや
この章では、組織がLean UXを取り入れるために行う必要のある移行について説明します。ただし、この移行の具体的な方法は示しません。それは、それぞれの組織が状況に合わせて考えることだからです。(8章 組織的な移行 より)
ご尤も。とはいえ、ここで解説されている"移行"の説明は、本書の冒頭で提示している"原則"と対応しているようにも思えます。対になった解答とまではいかないとしても、上記の原則を組織に適用するための"移行"という感じ。
初読の感想として。
ソフトウェアやサービス開発現場で働く中で、うまくいった事例もあればいかなかった事例もある。僕はまだ然程経験を積んではいないけれど、それらを振り返って、じゃあ次は...と改善することになるけど、その次や次の次で元に戻っていたり。
一回一回の反省や改善点を蓄積し、組織に合ったやり方を構築することも大切だし、こういった先人達の事例を基に生み出された手法にチャレンジ(トライ)するのもいいな、と。100%シンクロしなくてもそこから微調整したりとかもできるし。
すぐに実践は難しいかもだけど、今、またはこれからそういった開発現場で働く機会のある人におすすめの一冊。
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ちなみに
この本の監訳を務められている方の前職が同じで、それも同じサービスを担当していたとのこと。当時はプロジェクトなどでご一緒する機会がなく、直接的な面識はないのだけど、一度仕事をしてみたかったな、と。