夏休みということで、マネジメントに関する本を読んでいる。
掲題の「1分間マネジャー」は以前にも読んだことがあった本(ちょうどマネージャーになった頃)だけど、正直ピンとこなかったので、今回再読した。
ちなみに、新1分間マネジャーという本も出ている。
本自体は、有能なマネージャーを探し求めるひとりの若者が「1分間マネジャー」と出会い、彼の部下たちに話を聞き、その極意を学んでいく、という物語調で進んでいく。
感想的メモ
感想というよりは、だけど、まずは本書で解説されている「一分間マネジメント」の3つの秘訣。
1分間目標設定
- 自分の目標について同意(納得)し、承知する。
- 良い行動とはどういうものかを知る。
- 目標は一つずつ、250語以内で一枚の紙に書きつける
- 各々の目標を何回でも読み返す。だが、どの目標も読むのに一分とかからない。
- 一日のうちで、ときどき、一分間使って自分の目標達成具合を調べる。そして、
- 自分の行動が目標と合致しているかどうかを調べてみる。
経験上、これがなかなか難しいような気がした。半期とか年間での目標に対し、それをブレイクダウンした目標を立てる、という意味合いなのだとしたら、より行動に即した目標にしていかないといけない。
例えば、「〇〇を達成する」といった半期目標を立てたとして、直近の二週間なり、一カ月で何をどうやるのか、どこまで進めるのか、といった具合?
そして、それを毎日(のように)確認し、自分の行動が会っているかを振り返る。
1分間称賛法
- 前もって部下に伝えよ。彼らの仕事ぶりを指摘する意図があることを。
- その場ですぐ褒める。
- 正しく、うまくやった事柄を具体的に話してやる。
- うまくやったのを見て、上司としての自分がどんなにいい気分になったか、それが組織やその中で働く人々にいかに役立つかを話す。
- 沈黙の時間を置き、いかに気分がいいかを当人にも”感じ”させる。
- 引き続き同じように頑張るように励ます。
- 握手をしたり、触れたりして、組織の中で部下が成功することを援助していることをはっきりわからせる。
個人的にはこれはやりやすい方(性格的に)かなと思っている。できたことをできたね、と褒めてあげることは。ただ、「上司としての自分がどんなにいい気分になったか」についてはあまり触れてない気はする。
そして、リモートワークが普及した現状や、こちらにそのつもりがなくてもセクハラ行為とされてしまう可能性のある「触れる」という行為はちょっと現代とは合っていないかもしれない。
1分間叱責法
- 部下がやっていることをはっきりと、曖昧でないことばで指摘するつもりだということを”前もって”はっきり知らせる。
- まちがった点はただちに叱る。
- 何がまちがっているかを具体的に教えてやる。
- まちがいを見てどう感じたかを部下に話す。確実な、はっきりとしたことばで。
- 不愉快でも、沈黙の数秒間を置き、あなたの感じをしみじみ相手に”味わわせる”。
- 本心から部下の味方であることがわかるよう、握手をしたり、肩に手を置いたりする。
- 部下を高く評価していることを思い出させる。
- この状況での部下の実績は別として、部下に好意をもっていることを、もう一度、はっきりと言う。
- 叱責が終わったら、それですべておしまいということをよく認識する。
※2~5は叱責の前半、6-9は叱責の後半、で実施すること。
これは個人的には苦手(たぶん八方美人的なのだと思う)。マネージャーとして、部下のミスや怠慢を叱ることは仕事である、と割り切ってやっていきたいと思う。
が、本書(以下)に書かれているように、叱責は行動に対してのみで、人間としての部下を責めてはいけない。
「上司が責めるのは、人間としてのわたしではなく、わたしの行動だけなので、むきになって自己弁護をする必要がないのよ」
本書(P.68)
行動を責める、という表現は培っていきたい。
印象に残ったフレーズとか、のメモ
「君が問題だということを説明してみてくれたまえ。ただし、行動に即したことばでだよ」
本書(P.39)
話の前後を読まないと何のこと?って感じだが、目標設定をする前に、解決すべき問題は何なのか、それをちゃんと把握できているのか、ということの確認が必要。
続いて「態度だとか感じだけを聞きたくないということ。起きている事柄を観察し得る、また測定し得るようなことばで、述べてくれ」ともある。なんとなく問題だと思う、ではなく、〇〇だから問題だ、××をやるべきだ、といった具合だろうか。
「私が費やす最良の時間は、部下に投じる時間である。」
本書(P.78)
本書のタイトルは印象的だが、1分間ですべてのマネジメントをするわけではなく、新しい仕事やアサインが発生したときはじっくり時間を取る、それ以外は「1分間で読める目標設定」「1分以内の称賛・叱責」。
つまり、1分間しかマネジメントしたくないのではなく、必要に応じて部下に時間を投じますよ、というスタンス。
「どこかよそで見つかるような知識は、頭の中にごたごた入れたくないと、彼は言うんだ」
本書(P.85)
アインシュタインが自宅の電話番号を聞かれた際、電話帳で探し始めた、というエピソードに基づく。
「一日一分、自分の目標をチェックしろ。成果をチェックしろ。そして自分の行動が目標に合致しているかチェックしろ。」
本書(P90)
一日一回というのは実際には酷かもしれないが、せめて週初めの一回とか、アサインが切り替わるタイミングとかはチェックすべきなのだと思った。もしくは部下との定期1on1が毎週や隔週なのであればそこでもいいかもしれない。
「そうすると、<一分間の目標設定>をもう一度やってから、おおよそのところでうまくやっているところをまた見つけようとするんですか」
本書(P.102)
行動がうまくいっていないとき、特に経験がないものがうまくできていない場合、そこで罰を与えるのではなく、何が要求され、よくやるとはどういうことか、をしっかり理解させることが必要。
そのために、もう一度「一分間の目標設定」に戻る、と。
「目標が行動を促し、成果が行動を持続させる。」
本書(P.118)
1分間マネジメントを理解した若者が、1分間マネジャーに対して示したまとめとも取れる言葉。