"ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法"を読んだ話

夏休みの読書第二弾ということで、2-3年前に話題になった「ヤフーの1on1」という本を読んだ。

マネージャーになってから(正確にはサブマネージャーになってから)、少しずつ1on1ミーティング(以降、1on1)を始めて、いまは部下全員と隔週で実施しているわけだけど、正直社内の研修を受けたのはサブマネージャーになるより前のチームリーダー時代だったため、その意義や意図がしっくりきていなかった。

また最近、上記研修の続編のような研修を受け、いろいろな方々の経験談を聞き、自分は「なんとなく」でやってるかもしれない、と痛感した。

本書について

タイトルの通り、ヤフー(Yahoo!)における1on1の取り組みについてその背景や導入に際しての壁などが語られている。

日本で(?)1on1が流行したきっかけとも呼べる書籍、かもしれない、というほど、その界隈では有名な本だけど、上記のようなきっかけもあり、ようやく読んでみようと重い腰を上げた。実はこの手のビジネス書というか、そういうものにあまり慣れていないというのもあった。

とりあえず目次を章ごとに追っていく。

第1章 マンガで学ぶ1on1ミーティングの基本

まずは、というところで、1on1のケーススタディ。二つの似て非なるマンガから、言葉を選ばずに言うと「良い1on1」と「悪い1on1」を説明している。

結論としてはケースAが「悪い例」、ケースBが「良い例」なのだけど、もしかしたら1on1をやったことがない人がケースAを読んだ時点では、これの何が悪いのか?と感じる部分があるかもしれない。

そして、ケースBを読んだあとでも、もしかしたら「ケースAのほうが上司らしい」とすら感じるかもしれない。Aは一見アドバイスのようなことを発しているように見えるし、Bは部下任せにも見えるため。

第2章 1on1とは何か

1章のケーススタディを受けて、ここで1on1とは何か、について説明している。個人的にはここと、次の3章が印象深い。ので、感想等は後述する。

第3章 1on1における働きかけ

前章で、1on1とは、が分かったところで、具体的にはどうするか、といったことが語られている。アクションというよりプロセスに近いが、1on1の実態に則した内容になっていて、とても読みやすい(入ってくる)内容だった。こちらも感想等は後述。

第4章 1on1導入ガイド/第5章 ヤフーが人財開発企業を目指す理由

二つをひとまとめにしてしまったが、後半二章は企業や組織が実際に1on1を導入するにあたってのハードルなどについて、ヤフーの仕組みや実例を挙げて解説している。

が、自分が身を置いている環境としては幸い、1on1が既に奨励されているし、冒頭に書いた通り自分自身も実施中のため、ここについては「へぇー」というか、ヤフーの実例を読み物として読んだ感覚。

ケーススタディA・B

続く第2章で詳細が説明されるため、ここはマンガに出てくるポイントの解説。本書に出てきた「注意点」は以下の通り。

  • 部下に十分に話をしてもらう
  • 話は最後まで聞く
  • 上司は先に自分の考えを言わない
  • 上司依存の関係にしない
  • 行動で終わる

恥ずかしながらこのアンチパターンに、自分も当てはまっていると言わざるを得なかった。特に「上司は先に自分の考えを言わない」は酷く刺さった、グサリと。

おそらくこれが、「部下に十分話させず=最後まで聞かず」、結果的に「上司依存の関係」となり、「行動で終わらない」という悪循環を生むことになるのではないかと思う。

第1章のまとめとしても記載されているが、「1on1は部下の成長のために行うものであり、上司が状況把握をするためのものではない。」(P.50)

1on1に取り組む理由

ヤフーには「経験学習を促進するため」「社員の才能と情熱を解き放つため」という二つの概念がある。

後者は同社の人材育成の基本方針で、前者は「7:2:1の理論」というものに基づくもの。人の成長を決める要素の比率で、「仕事経験から学ぶ(7):他社から学ぶ(2):研修や書籍から学ぶ(1)」というもの。

つまり、最も比率の高い「経験から」という部分を促進するために、1on1に取り組んでいるということで、これ自体は特に違和感もなく納得できる。では、果たしてその効果は?具体的なやり方(基本形)は?という部分が続く。

1on1の基本形

経験学習を効率的に回すための、1on1の基本形がスクリプトとして書かれている。(実際にはこんなにきれいにいかない気もするが、それは経験不足?)

1on1は上司が聞きたいことを聞く場ではなく、部下のための時間であるため、話すことも部下が決めるのが基本。ただ、これを読みながら、経験上「特にないです」と言われることもしばしば・・・と思っていたのだけど、これについては、後の第4章FAQで言及される。(本稿には書かないが。)

あとは、「詳しく話してもらうこと(上司が理解を深めるためではなく、部下が内省を深めるため)」、「考えをはっきりさせるため、的外れかもしれない質問や言い換えること」、「(否定をしない)ニュートラルな返答・応答」、「沈黙」、「次の行動(スケジュール)」といったあたりがキーワード。

否定をしないニュートラルな返答・応答

感想なので、本文中の表現のままではないけど、ひとつ気にかかる部分があった。

部下の言葉に対し、否定をせず、自分の考えをを言わず、だと、すべてを「同意」したかに思われるかもしれない。ただ、これについては第3章(自分メモとしてP.114)にて触れられている。

ここで、留意したいのは、本項で述べる共感や肯定的な配慮は、賛成や同意とは異なるということです。前述の例においても「業務量が多い」という部下の感情に対して、上司は共感し、部下の感情を無条件に受け入れてはいますが、同意しているわけではありません。

本書(P.114)

すべてを同意しろ、ではなくてよかった。

信頼関係の構築と働きかけ

1on1における代表的な技術として「アクティブリスニング」「レコグニション」が解説されている。

アクティブリスニング

「傾聴」と訳されることが多いが、日本語のそれとは少しイメージが異なるため、あえてカタカナ英語を使っている。ただ黙って相手の話を聞くのではなく、頷いたり、相槌を打ったり、相手が発したキーワードを繰り返したりすることを指す。

特段、アドバイスのようなものがなくてよくて、部下の言葉をオウム返しにするだけ。これにより、自ずと自分で考えることになり、自分の考えが整理される。

レコグニション

文字通りの解釈すると、「相手が存在することを認める」となるが、要するに部下の言動を100%信じ、気持ちに寄り添うこと。

ただし、前述したように、部下の感情を無条件に受け入れるが、同意ではない。

コーチング/ティーチング/フィードバック

本書を通じて沢山出てくるキーワードなので、そのポイントだけメモしておく

  • コーチング(coaching): 部下が自力で答えを見つけるためのサポート(P.115)
    (部下が経験から学び、次の行動をうながすための質問を主としたコミュニケーション手法)
  • ティーチング(teaching): コーチングとの違いを意識して、使い分ける(P.119)
    (知識や技術を知っている人から知らない人の教える行為)
  • フィードバック(feedback): 耳の痛いことを部下にしっかりと伝え、彼らの成長を立て直す(P.121)
    (部下の行動がまわりからどう見えているのか、主に上司が部下に伝えることにより、部下の成長を支援するための方法)

あとは、「今回のできごとから何を学んだ?」という学びの確認と、「その学びを次にどう活かす?」という行動の決定、をさせる二つの質問が重要。


企業が1on1を導入する方法論的なところである第4-5章については(読んだけど)ここでは割愛する。

あとは実践あるのみ。1on1のスキル自体も経験学習的なところがかなり強いと思うし、まずは本書の内容を意識してやっていき、そのうちに、自分なりのスタイルとか新たな発見をしていければと。

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